医療機関を事業者として経済的にベンチマークすると?

久々のブログ更新。

 医師で病院経営を専門にしているというと、かなり奇異な目で見られますが、自分の担っている仕事の意味を振り返るためにも、病院の経済規模がどの程度なのか上場企業のランキングの様にベンチマークする機会も無いと思いますので、まとめてみようと思います。

経済規模、ということで営業利益額(病院では医業収益額と記す)で見てみようと思います。

まず、千葉大学医学部附属病院の損益計算書ベースの予算規模(大学全体では無く病院に限った予算規模)は次に挙げる企業とくらべ大きいと思うか小さいと思うか予想してみてください。使用したデータは2019年3月決算データです。


・三菱マテリアル

・キューピー

・日本ハム

・サイバーエージェント

・日新食品

・オリンパス

・ZOZO


なるべく知っていそうな株をピックアップしてみましたがどうでしょうか。


正解は、、、



上記に挙げた企業すべてに勝っている




そうなんです。予算規模、営業利益額としては、一部上場の有名企業以上なのです。

何位とは明示しませんが、上場企業201位から250位グループに入っており、同順位グループのグラフを示すと以下の企業と同列になります。



出典 ヤフーファイナンスHPをもとにグラフを作成。https://info.finance.yahoo.co.jp/ranking/?kd=47&tm=d&vl=a&mk=1&p=9 


従業員数については、上場企業の正職員人数ランキング500位が5,000人くらいのようですが、千葉大学医学部病院ではおよそ3,000人と少なく、1人当りの営業利益額は大きいという事になります。

しかし、基本的に非営利組織であるため、営業利益率は業界全体で1.9%程度。材料比率が高く、その収益を医療材料や医薬品やその他資材等に還元していると考えられます。

そう考えると、病院というのは地域の経済のハブといえる存在ではないでしょうか。キャッシュフローを回すため薄利で一生懸命に働いている健気な存在だなあと我々ながら思ってしまいます。

赤字病院だからといって潰していいかどうか、地域経済に与える影響も考えながら行う必要がありそうです。


大学病院という立場上、地域の関連病院等との連携も進めていく必要があり、経営マネジメントの波及効果も与えていけるような業務も担っているため、結果、大事業団への経済性の向上に影響を与える事になります。


その経営の一端を担う者として、改めて気を引き締めていきたいと思います。
















悠善-EUZEn-

EUZEnとは「善く生きる」ということ。ギリシアの哲学者アリストテレスはそのためには、それぞれの本来の性質を十分に発揮することと述べています。 医療機関のそれぞれの職種が本来の力を発揮できる様に、幅広いキャリアを活かして、医療機関のマネジメント、人材育成、循環器診療、産業医・働き方改革や生産性の向上、地域の健康づくりやデータサイエンス・ITの活用など、幅広く貢献できるよう活動しています。